●保証債務
債務者が債務を履行しないときは、債務者に代わって履行することを約束した者(保証人)が負担する債務のことです。債権者と保証人との契約によって成立します。
保証人は債務者が債務を履行しないときに、代わって債務を履行する責任を負います。そして保証契約は必ず書面か、内容を記録した電磁的記録にしなければ、効力を生じないとされています。保証人は原則、誰でもなれますが、契約などで債務者が保証人を立てる義務があるときは、資力があること、行為能力者であることが必要です。ただし、債権者が保証人を指名したときは、制限はありません。

●保証債務の性質
保証債務の性質は4つあげることができます。
○1つ目は付従性です。主たる債務があって初めて保証債務が成立します。主たる債務がなくなれば保証債務もなくなります。主たる債務に従属するので、付従性といいます。
○2つ目は随伴性です。保証債務をつけるのは、主たる債務の担保としてですから、主たる債務が移転してしまうと、保証債務もいっしょに移転します。これが随伴性です。
○3つ目は補充性です。保証債務は主たる債務者が弁済しないときに、保証人に弁済させるようにしておくことですから、二次的な債務といえます。この補充的なことを保証債務の補充性といいます。
ただ債権者が突然、保証人に保証債務の履行を請求してきたときには、まず主たる債務者に催告するように請求できます。これを催告の抗弁権といいます。また債権者が保証人に履行を請求してきたとき、主たる債務者に弁済する資力があり、かつ、執行が容易であることを保証人が証明したときは、債権者は先に主たる債務者の財産等について執行する必要があります。これを検索の抗弁権といいます。
※連帯保証人には催告の抗弁権、検索の抗弁権はありません。
○4つ目は保証債務独自に違約金、損害賠償額を定めることができることです。しかし主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減少させることができます。
●保証人に生じた事由の効力
保証人について生じた事由の効力は、原則、主たる債務者にはおよびません。
例えば、債務保証について時効期間が満了して、保証人が保証債務の時効消滅を主張しても、主たる債務は依然として存続します。そして保証人は保護の観点から相殺権が認められています。保証人は主たる債務者が債権者に対して債権を持っているときは、相殺を主張して、保証債務の履行を拒むことができます。
※相殺権は連帯保証人も認められています
●連帯保証
保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担することを連帯保証といいます。債権者は直接、連帯保証人に請求できますので、債権回収に有利な保証といえます。連帯保証には付従性と随伴性はあります。連帯保証人には補充性がありません。催告・検索の抗弁権は認められていません。連帯保証の場合は、弁済・相殺・更改の債務の消滅の事由以外に、請求・混同が生じれば、主たる債務者にも生じたことになります。これらは絶対効の事由になります。連帯保証人が免除されても、主たる債務者は免除されません。
●共同保証
同じ主たる債務について複数の人が保証人になっている場合を共同保証といいます。普通の保証の場合は、各保証人は主たる債務を保証人の人数で割った分しか責任を負いません。これを分別の利益といいます。ところが連帯保証人には分別の利益が認められません。
例えば、債権者Aが保証人Cに請求したとき、Cは500万円の4分の1である125万円を支払うことになります。連帯保証人Fは分別の利益が認められませんので、Aの請求に対して、500万円全額を支払わなければなりません。連帯保証の責任がいかに大きいかわかったと思います。

●連帯債務の清算
いままで何度もでてきました。連帯債務者の一人が債務を全額弁済したときは他の連帯債務者も債務は消滅しますが、各自の負担金については弁済をした債務者は求償権を取得します。
求償できる範囲は負担分と、免責のあった日以後の法定利息、弁済費用、訴訟費用、執行費用など必要な費用のほか、損害があればその費用も含まれます。
※求償権とは、弁済したものが他の人に返還、弁済を求める権利

次はLESSON38 債権(1)です。