宅建士英文タイトル

LESSON12 業務上の規制(1)

宅建業法は消費者を守るために、宅建業者を規制しています。
ここではさまざまな業務上の規制を学習します。

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●広告と契約
 宅建業者は営業を始めるために、お客さんを集めなければなりません。その第一歩が広告による、物件の紹介、契約条件、価格等の案内です。
▶︎広告の開始時期
 宅建業者が広告した物件が、実際と大きく異なるようなことがないようにしなければなりません。宅建業法では、消費者の不利益にならないように、広告開始時期の規制を設けています。宅地の造成、建物の建築工事では、完成前については開発許可、建築確認等の後でなければ広告をしてはならないことになっています。
▶︎誇大広告の禁止
 広告には新聞、雑誌、チラシ、テレビ・ラジオ、インターネット、看板等があり、すべての広告が規制の対象になります。
 宅建業法に違反する広告は禁止されています。オーバーな表現、事実と違う表現、ウソの表現等は誇大広告にあたります。誇大広告は、広告すること自体、禁止されていて、違反すると監督処分、罰則を受けることになります。
▶︎規制の対象になる広告内容
 規制になるのは、物件について、周辺環境について、金銭についてと、大きく3つに分類されます。

・物件の所在地、面積、間取り、地目、構造、新築または中古、ガス・水道・電気等の整備状況などです。
・環境関係では、現在または将来の利用制限、環境・交通等の利便性(主要駅までの所要時間、最寄駅・停車場までの距離、所要時間等)
・支払い金額、支払い時期、一括払いか分割払いか、ローン付きかなしか、ローン金利、返済期間・条件等
▶︎禁止される広告表現
・著しく事実に相違する表現
・実際よりも著しく有利であると、人に誤解させる表現
・実際よりも著しく優良であると、人に誤解させる表現
・事実を表示しない、不利な事柄を隠す行為
※おとり広告というのがあります。これは存在しない物件や売る気のない物件を広告にのせて、集客をはかり、広告とは違う物件を売り込む方法です。これも違反になります。 


●物件の取引態様の明示
   宅建業法では、宅建業者に取引態様をハッキリとさせるように義務づけています。広告をするとき、注文を受けたときはすぐに明示しなければなりません。
明示は書面だけでなく、口頭でもかまわないとなってます。
 取引態様を明示するとは、自分が契約の当事者で売買、交換を行う場合、代理人として売買、交換、貸借を行う場合、媒介(仲介)して売買、交換、貸借を行う場合のどれであるかを相手方に、ハッキリと伝えることです。

●媒介契約、代理契約について
 不動産知識の少ない一般の方が、自分の持っている不動産物件を売ろうとするとき、買い手を探すのは非常に大変だと思います。そのため、宅建業者に物件の売却や賃貸を任せることが、よく行われます。持ち主と宅建業者との契約のかたち、 媒介契約または 代理契約というもので、取引が行われます。
 
媒介・代理媒介・代理
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▶︎媒介契約
 依頼主は宅建業者に媒介(仲介)を依頼します。宅建業者は相手方(お客)を見つけて、依頼主と相手方との間で契約が成立します。
▶︎代理契約
 依頼主は宅建業者に契約締結の代理権を与えます。宅建業者は依頼主に代わって、契約を結ぶ権限を得ます。

●媒介契約書の交付
 宅建業法では媒介契約について、次のように規定しています。宅建業者は宅地・建物の売買、交換の媒介契約を行ったときは、すみやかに媒介契約の内容を記載した媒介契約書を作成し、これに記名押印し、依頼者にその媒介契約書を交付しなければなりません。
契約書交付
媒介契約書の記載内容
 媒介契約書には下記の事項を記載しなければなりません。
・媒介契約の種類
・媒介契約の有効期間、および解除に関する事項
・物件への指定流通機構(レインズ)への登録に関する事項
・報酬(宅建業者に払う)に関する事項
・違反の場合の措置
・国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別

●媒介契約の分類
 媒介契約には大きく分けて、 専任媒介契約一般媒介契約があります。 専任媒介契約は、依頼者が宅建業者を1社のみとし、他の宅建業者に重複して依頼するのを禁止しています。一般媒介契約は、依頼者が複数の宅建業者に依頼することを許可しています。
 専任媒介契約はさらに2つに分類されます。一つは 専属専任媒介契約、もう一つは 非専属専任媒介契約です。 専属専任媒介契約は、依頼者が自分でお客を探して、宅建業者を通さずに直接取引をすることは、禁止されています。非専属専任媒介契約は依頼者が自分でお客を探して、宅建業者を通さずに直接取引をすることを、許可しています。自己発見取引といいます)
 一般媒介契約も2つに分類されます。 明示型非明示型です。 明示型は他の宅建業者に依頼した場合は、その宅建業者を明示する義務があります。非明示型は他の宅建業者に依頼した場合でも、その宅建業者を明示する義務がありません。下の図を見るとわかりやすいと思います。
媒介取引図媒介取引図
 
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●専任媒介契約の規制
 宅建業法では、宅建業者に対して、専任媒介契約には、一般媒介契約よりも厳しく規制しています。これは専任媒介契約を結んだ依頼者が、物件がいつまでたっても契約が成立しないなどの不都合から保護するためです。
 規制の内容は、有効期間・更新、お客の探索、報告義務などです。これらの内容の規制に反する、依頼者に不利な特約は無効になります。一般媒介契約は規制がありません。
▶︎専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間
 有効期間は3カ月以内です。3ヶ月を超える場合はあくまで3カ月となります。有効期間の更新は、依頼者からの申し出があった場合に限り、3カ月以内が可能となります。
※自動更新の特約は無効になります
 
 

雷門イラスト

▶︎探索義務と指定流通機構
 依頼者が宅建業者と専任媒介契約を締結したときは、依頼者のお客を探索するため、指定流通機構(レインズ)に、契約日から7日以内(専属専任媒介契約は5日以内)に物件を登録しなければなりません。(休日は除きます)
 登録内容は物件の所在地、規模・形質、売買価額・評価額、主要な法令上の制限などです。
※所有者の氏名、登記された権利の種類、内容などは不要です
 宅建業者が登録すると、指定流通機構(レインズ)が発行する登録証を、すみやかに依頼者に渡します。宅建業者は物件の契約が成立したときは、すみやかに指定流通機構にその旨を通知しなければなりません。
※指定流通機構(レインズ)とは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことで、4つの団体が指定されています。指定流通機構のコンピューターネットワークをレインズと呼んでいます。
▶︎宅建業者の報告義務
 宅建業者は専任媒介契約の場合は2週間に1回、専属専任媒介契約の場合は1週間に1回、依頼者に業務の処理状況を報告する必要があります。報告は口頭や電子メールでもよく、書面の必要はありません。