●売買
当事者の一方(売主)がある財産権を相手方(買主)に移転することを約束し、相手方(買主)がこれに対してその代金を支払うことを約束する契約を売買といいます。買い物にはこんな法的な事柄が存在していたんです。
●手付(てつけ)
売買、請負、賃貸借などの契約締結の際、履行の保証として当事者の一方から他方へ交付される金銭などを手付といいます。手付は契約成立の証拠であり、解約の場合の没収金の目的でもあります。不動産の売買契約では、代金の5%から10%の手付が買主から売主に渡されます。
手付には交付の目的によって、解約手付、違約手付、証約手付の3種類があります。
○解約手付とは、手付を交付することで契約を解除できるようにしたものです。
○違約手付とは、債務不履行があった場合に、手付を没収する趣旨で交付されるものです。
○証約手付とは、売買契約成立の証拠として交付されるものです。
当事者が手付を交付したけれど、どの種類の手付か定めなかったときは、民法では解約手付と推定されます。
解約手付の場合は、買主は手付の放棄により、売主は手付の倍返しにより、契約を解除できるとしています。相手方の債務不履行は関係ありません。また、手付の解除には時期的制限があります。相手方が契約の履行に着手した後は、解約手付による解除はできません。自分の方が履行に着手していても、相手方がまだ履行していないときは解除できます。
具体例を2つあげて解説します。
AはBに家を3,000万円で売る契約をし、Bから手付金300万円を受け取りました。ところがCが現われ、Aの家を4,500万円で買いたいと申し込んできました。Bとの契約を解除する場合は、Aは倍返しとして手付金300万円の2倍600万円をBに渡すことになります。

AはBに家を3,000万円で売る契約をし、Bから手付金300万円を受け取りました。ところがAの家より価格の安い2,000万円でDの家が売り出されました。Bは手付金300万円を放棄して、Aとの契約を解除し、Dの家を購入することができました。






6○用益権(地役権等)がある場合の担保責任
土地を買って家を建てようとしたが、他人のための地上権が設定されていて、買主が家を建てられない場合です。
このように売買の目的が地上権、永小作権、留置権、または質権の目的となっている場合に、目的不動産に存在するとされた地役権が存在しない場合、買主に対抗できる賃借権が存在するとき、担保責任を追求できるのは、善意の買主に限られます。当然、売主に損害賠償請求、目的を達成できないときは、契約の解除ができます。権利行使期間は1年以内です。
※用益権とは、使用収益権の略として用いられ、また用益物権、賃借権等の使用収益権の源泉となる権利を指すこともあります


次はLESSON43 贈与・消費貸借等 です。