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LESSON47  借地借家法(2)

ここでは借地借家法の借家権に関する法律を中心に
建物の賃貸借契約と借家人の権利を学習します。

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●借家権
 借地借家法の借家に関する規定で、建物の賃貸借契約に適用されます。建物の用途は問われません。借家人の保護が目的です。展示会場、別荘などの一時的使用目的の建物の賃貸借には適用されません。ただで貸す使用貸借にも、借地借家法の適用はありません。
 借家権は存続期を定める場合と、定めない場合があります。期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます。(定期借家の場合を除きます)借家については、民法の規定で最長20年という制限が適用されません。20年を超える契約も可能です。

 
借家権
 

  ●建物賃貸借の更新
 借地借家法では建物賃貸借の更新について、規定を設けています。
期間の定めがある場合
 期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、更新をしない旨の通知等がないと自動的に更新されます。そして大家(賃貸人)からの更新拒絶には正当事由がなければなりません。
更新1
期間の定めがない場合
 建物の大家(賃貸人)が賃貸借の解約の申し入れをしたときは、建物の賃貸借は解約の申し入れの日から6カ月を経過することで終了します。ただし解約申し入れには正当事由が必要です。借り手の保護のためです。6カ月経過した場合でも、さらに借家人が使用を継続していて、なおかつ大家の異議がないときは更新されます。
更新2

なお賃借人が解約を申し入れたときは、3カ月経過後に賃貸借契約が終了します。正当な事由も不要です。
更新3

●借家権の譲渡・転貸借
 建物を賃借人がまた貸ししている場合、期間の満了または解約の申し入れによって終了するときは、建物の家主(賃貸人)は転借人にその旨を通知しなければ転借人に対抗することはできません。通知があったときは、通知がされた日から6カ月を経過することによって、建物の賃貸借は終了します。

 借家権の転貸借

造作買取請求権

●造作買取請求権
 借家契約の終了のときに、借家人が家主の同意を得て建物の付加し、または家主から買い受けた畳、建具その他の造作を時価で家主に買い取るように求める権利を造作買取請求権といいます。
 例えば、借家人が家主に承諾を得て、エアコンを取り付けた場合、借家契約が終了したときに、借家人は家主に「エアコンを時価で買い取ってください」ということができます。ただし、造作買取請求を認めない特約は有効です。これは造作買取請求権があることで、家主が承諾してくれず、エアコンが取り付けできないなどの、造作がつけられない状態になるからです。債務不履行で終了の場合は、造作買取請求権は認められません。


●借家権の対抗要件
  家主が所有している建物を売却しました。この建物を賃借している賃借人は、建物を購入した人(譲受人)から出て行くようにいわれています。賃借人はすぐ出ていかなければならないのでしょうか。

 借地借家法では、賃借人は建物の新しい所有者に対して、出ていかなくてもよいと定めています。 


●借地上の建物の賃貸借
 借地上の建物の賃借人を保護する目的として、借地借家法では規定を設けています。借地人が自分が所有する建物を他人に貸している場合、借地権が存続期間の満了によって消滅するときは、建物の賃借人は建物を明け渡すことになります。

しかしこの明け渡しを賃借人は存続期間満了の1年前までに知らなかった場合は、裁判所は建物の賃借人の請求により、賃借人が知った日から1年を超えない範囲で、土地の明け渡しにつき相当の期限を許与することができるとされています。

借地上の建物賃貸借

●居住用建物の賃貸借(借家権)の承継
 婚姻届を出していない内縁関係といわれる男女が借家に住んでいた場合、どちらかが死亡したときは、法律的には夫婦ではありませんので、他方は相続人になることはできません。
 借家人(内縁の夫または妻)が死亡した場合に、借家人と同居していた内縁の同居人は賃貸人から立ち退きを請求されることがよくあります。これでは気の毒ですので、借地借家法では規定を設けました。

 賃借人が相続人なしで死亡した場合に、その当時、内縁関係の同居人は建物賃借人の権利義務を承継します。これは特約で排除できます。ただし、同居人が相続人なしに死亡したことを知った後、1カ月以内に建物の賃貸人に承継しない旨の意思表示をしたときは承継しません。死亡した賃借人に相続人がいる場合は、内縁の同居人には借家権の承継は認められません。
 


●定期建物賃貸借(定期借家権)
 更新のない借家権を定期建物賃貸借といい、利用目的の制限はありません。期間を定めますので、6カ月でも20年でも可能です。定期建物賃貸借は更新がないので、契約方法は書面によって契約を結ばなければなりません。ただし公正証書の必要はありません。
家主(賃貸人)は契約を結ぶときに更新がないこと、一定期間が経てば借家契約が終わる旨を記載した書面を使って説明することが、義務付けられています。この書面を使った説明がないときは、更新がないことが無効になり、普通の借家契約になってしまいます。

定期建物賃貸借の終了は期間が1年以上のものは、1年前から6カ月前までの間に家主の方から通知しなければ、終了を対抗できません。
床面積が200㎡未満の居住用建物の賃貸借の場合、やむを得ない事情によって退出しなければならないときは、賃借人の方から途中解約が可能です。また借家人に不利な特約は無効になります。
取り壊し予定建物の賃貸借
 定期借地上の建物や法令によって、一定期間で取り壊す予定のある建物の貸し借りについて、取り壊すときに終了するという借家契約です。取り壊す事由を記載した書面で契約を結ぶことが必要です。


●家賃・地代の増減額請求権
 経済事情、家賃の変動、税などの負担の増減により、家賃や地代が不相当になった場合は、契約の条件にかかわらず、家主または賃借人は将来に向かって家賃や地代の増減額を請求することができます。契約内容に一定期間増額しない旨の特約がある場合には、その期間は増額の請求をすることはできません。他方、一定期間減額しない旨の特約があったとしても、減額を請求できます。

 例えば、家賃は1カ月8万円でしたが、家主が1カ月12万円に値上げするといってきました。しかし両者の協議がととのいませんでした。この場合、借り手は相当と考える家賃1カ月10万円を支払えばよいことになります。ただその後、裁判で家賃が12万円で決定したときは、家主から増額請求された時点にさかのぼって、増額分1カ月2万円が加算され、さらに年10%の割合の利息もつけて支払うことになります。減額の場合はこの逆になります。


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借地借家法の2は借家権がテーマでした。
借地権との違いに注意してください
次は相続制度がテーマのLESSON48 相続です。