宅建士英文タイトル

LESSON51 不動産登記法(1)

難しい出題の多い不動産登記法の分野は学習の範囲が広く、得点も大変です。
テキストによって、あまり深入りしないようにすることが、
学習の秘訣といわれています。

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不動産登記法
 不動産の対抗要件である登記等について定めている法律を不動産登記法といいます。コンピュータによる登記簿が原則とされ、全国すべての登記所で登記申請が導入されています。

不動産登記
不動産に関する権利関係を公示するための登記をいいます。民法では不動産の登記は第三者に対する対抗要件ではありますが、公信力は有しないとされています。
※公信力とは、権利の存在を推認させる一定の表象を信頼して取引した者に対してたとえその表象が不実のものであっても、法律上有効に権利取得を認める効力。日本では不動産の登記には認めていない

登記の仕組み
 登記官が登記簿に登記事項を記録することによって行われるのが、登記です。この記録を登記記録といいます。登記記録は表示に関する登記、または権利に関する登記について、一筆の土地または1棟の建物ごとに作成される電磁的記録です。
●登記記録の構成
 登記記録は表題部権利部でできています。権利部はさらに甲区乙区に区分されています。表題部には土地や建物の場所、形状、構造、面積などの不動産の物理的な現況を示しています。土地の表示の登記については、土地の所在、地番、地目、地積、所有者などが登記事項とされています。表示に関する登記のうち、その不動産について表題部に最初にされる登記を表題登記といいます。

登記記録表題部

 建物の表示の登記は、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが登記事項とされています。いちばん下のところに所有者欄があります。

 土地も建物も所在を明らかにするために、地図や建物所在図を備えることになっており、地図は一筆または二筆以上ごとに作成されます。 


  登記記録の権利部は甲区と乙区には分かれていますが、甲区には所有権に関する事項、所有権の保存、所有権の移転、所有権の登記名義人表示変更、買戻特約などが記録されています。

 乙区には所有権以外の権利に関する事項、根抵当権、不動産質権、先取特権、地上権、永小作権、地役権、不動産賃借権、採石権などが記録されています。

 
登記記録権利部

●登記した権利の順位
 登記した権利の順位は同区の間においては順位番号により、別区の間においては受付番号によります。

※順位番号とは、所有権の登記等につけられた登記の順位を示す番号。甲区、乙区の区ごとに登記がなされた順に番号がつけらます。※受付番号とは、登記所で登記の申請を受け付けられる通し番号。


●登記期間
 不動産の所在地を管轄する法務局、支局、出張所などが管轄登記所として定められており、不動産の登記を見たいときは、登記所に行きます。

 建物の不動産が複数の登記所の管轄区域にまたがるときは、法務大臣または法務局長等が管轄登記所を指定します。


●登記簿の公開
 誰でも登記簿(登記記録)の交付を請求することができます。目的の不動産の所在地を受け持ている登記所へ行き、登記官に手数料を納付してから、登記記録の事項の全部または一部を証明した登記事項証明書の交付を請求することができます。同じく登記記録の事項の概要を記載した登記事項要約書の交付、地図、建物所在図などの全部または一部の写しを請求することができます。

 手数料の納付は原則として、収入印紙でおこないます。交付は送付を請求することもできます。郵送でも交付を請求できるということです。この送付請求はパソコンを使用したオンラインでも請求できます。


登記の手続き
●申請主義の原則
 不動産の登記は、原則として、当事者の申請がなければすることができません。申請する義務はありませんので、当事者の自由意思にまかされています。
 申請主義には例外があります。登記官は表示に関する登記については、当事者の申請がなくてもすることができます。これを職権登記といいます。さらに登記申請する義務もあります。土地が新たに生じた場合や、建物の新築や滅失の場合には、所有権を取得した者等は、1カ月以内に表示に関する登記申請をしなければなりません。


共同申請主義
 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者登記義務者が共同して行なわなければなりません。これを共同申請主義といいます。共同申請の原則が採用されているのは、嘘の登記がされないようにするためです。
※登記権利者とは、権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受けるものをいいます。(間接に利益を受ける者は除く)登記義務者とは、権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいいます。(間接に不利益を受ける登記名義人を除く)

 共同申請主義には例外があります。単独で申請できる登記です。
◯所有権保存の登記、所有権抹消の登記
◯登記名義人の氏名、住所の変更または更生の登記
◯相続または法人の合併による権利移転の登記
◯登記手続きをすべきことを命ずる確定判決による登記
 登記権利者が単独で申請できる登記は
◯仮登記(仮登記権利者が登記義務者の承諾書を添付する場合)
◯仮登記を命ずる処分があるときの仮登記


●申請の方法
 登記の申請は、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名または名称、登記の目的を登記所に提供します。申請方法はオンライン申請と書面申請があります。登記が完了したときは、登記完了証が交付されます。


  ●登記識別情報
 登記名義人が登記を申請する場合に、登記名義人自らが登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であり、登記名義人を識別することができるものをいいます。
登記識別パスワード

12桁の英数字からなるパスワードのことをいいます。
●登記完了証
 登記が完了したことを通知する制度も設けられています。登記済証の交付制度に代替えする制度で、登記完了証が交付されます。
●登記原因証明情報
 登記原因証明情報とは、売買契約書、抵当権設定契約書等をいいます。権利に関する登記を申請する場合には、申請人は法令に別段の定めがある場合を除き、申請情報と合わせて登記原因を証する情報を提供する必要があります。これを登記原因証明情報といいます。
●登記識別情報の提供
 登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記を申請する場合には、申請人は申請情報と合わせて、登記義務者の登記識別情報を提供しなければなりません。ただし前に登記識別情報が通知されなかった場合など、申請人が登記識別情報を提供することができない正当な理由がある場合は、提供する必要はありません。
登記識別の提供

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不動産登記の基本をここでは解説しました。
次はさまざまな登記を中心に学習します。
次はLESSON52 不動産登記法(2)です。