開発行為を行う場合には、都道府県知事の許可を受けなければならない制度です。開発行為とは、建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます。特定工作物は2種類に分けられます。1つは際1種特定工作物、もう1つは第2種特定工作物になります。
第1種特定工作物
コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵または処理に供する工作物
第2種特定工作物
ゴルフ場(面積の広さは関係ありません)、1ha以上の野球場・遊園地・動物園・墓園、その他レジャー施設等、危険物の貯蔵または処理に供する工作物
※1ha=10,000㎡、100m四方の土地を思い浮かべるとイメージしやすい

開発許可を申請しょうとする者は、あらかじめ開発行為に関係がある既存の公共施設の管理者と協議し、同意を得なければなりません。
開発行為を申請しょうとする場合
あらかじめ開発行為または開発行為に関する工事により設置される公共施設(新設される公共施設)を管理することとなる者、その他政令で定める管理予定者と協議しなければなりません。同意までは必要とされません。
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●開発行為の申請
都道府県知事に申請書を提出します。必ず申請書という書面で申請することが必要です。口頭で申請することはできません。
申請書には開発区域の位置、区域、規模、予定建築物等の用途、設計・工事施工者、着工日、完成予定日などを記載します。また許可申請前の手続きで同意を得たことを証明する書面、協議の経過を示す書面を添付します。
※1ha以上の開発行為に関する設計図書は、資格者(技術者、1級建築士等)が作成した者でなければなりません。

開発許可の基準とは、都道府県知事が許可するかどうかを判断するための基準です。そしてこの基準には2種類あります。1つは一般的許可基準、もう1つは市街化調整区域の基準です。
一般的許可基準(技術基準、33条)
都道府県知事は開発行為が33条の許可基準に適合しており、適法な手続きを経ている場合は、許可しなければなりません。主なものは下記の通りです。
◯道路、公園等の配置
◯排水施設の構造および能力
◯用途地域等の適合
◯40ha以上の開発行為には、輸送上、その他の見地からする立地条件の適正化
◯1ha以上の開発行為には、樹木の保存、表土の保全措置を講ずること
◯1ha以上の開発行為には、騒音、振動等による環境悪化の防止上、必要な措置を講ずること
◯工事施工者の工事完成能力
◯開発許可申請者の資力および信用
◯開発区域内の土地、工作物等の関係権利者の相当数の同意があること。この場合の開発区域内の土地についての所有権を有している必要はありません。
市街化調整区域の基準(34条)
市街化調整区域では、建築物の建築または第1種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為は、一般的基準を満たし、さらに34条の許可基準の1つに該当しなければ、都道府県知事は許可をしてはならないとされています。
◯主として開発区域の周辺に居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物またはこれらの者の日常生活に必要な物品の販売、加工、修理その他の業務を営む店舗、事業場などの建築のための開発行為
◯農林漁業用建築物(許可されていないもの)または市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理、貯蔵、加工用の建築物などのための開発行為
◯都道府県知事が開発審査会の議決を経て、開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがなく、市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と認める開発行為
●地位の承継
開発許可を受け、開発行為をしていた者が、途中で死亡した場合、どうなるでしょうか。これは開発許可に基づく地位の承継という問題になります。一般承継と特定承継があります。
一般承継
開発行為をしていた者が亡くなって、息子が相続して開発を続ける場合、当然として地位を承継します。許可は不要です。これは法人が合併した場合も同じです。
特定承継(特定の財産だけ引き継ぐ)
土地の所有者が許可を受け開発していて、その土地を売った場合、土地を購入した者が開発を続けるときも、許可は不要です。ただし悪質な開発業者だった場合は困りますから、都道府県知事の承認が必要です。


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