地区計画とは、都市計画で定められている計画の一種で、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、および保全するための計画です。下記に該当する土地の区域について定めるものとされています。
◯用途地域が定められている土地の区域
◯定められていない土地の区域で下記に該当するもの
・事業施行区域>住宅市街地の開発その他建築物もしくは、その敷地の整備に関する事業が行われる、または行われた土地の区域。
・スプロール防止地区>建築物の建築またはその敷地の造成が無秩序に行われたり、行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向からみて、不良な街区の環境が形成されるおそれのある区域。
・環境保全地区>健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域。
平成20年度、地区計画に関して開発整備促進区が新設されました。次の条件に該当する土地の区域では、劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途のための大規模建築物(特定大規模建築物)の整備による商業その他の業務の利便性を高めるため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域、すなわち開発整備促進区を都市計画に定めることができます。
◯現在、土地の利用状況が著しく変化しつつあり、または変化が見込まれる土地の区域であること
◯区域内において特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図ることが、当該都市の機能の増進に貢献することとなる土地の区域であること
◯特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、適正な配置および規模の公共施設を整備する必要がある土地の区域であること
◯第二種住居地域、準住居地域もしくは工業地域が定められている土地の区域または用途地域が定められていない土地の区域であること。市街化調整区域は除きます。
開発整備促進区は市街化調整区域、都市計画区域外(準都市計画区域も含む)は定めることはできません。
市街化区域内の第二種住居地域、準住居地域、工業地域などの用途地域内、または区域区分は定められていない都市計画区域(非線引き区域)内の用途地域が定められていない区域内において定めることができます。
※特定大規模建築物とは、床面積10,000㎡以上の店舗、映画館、娯楽施設、展示場等をいいます
市街地開発事業等
●市街地開発事業等とは
市街地開発事業と都市施設を合わせた表現を市街地開発事業等といいます。都市計画法で規定する市街地開発事業は7つあります。
土地区画整理事業 新住宅市街地開発事業
市街地開発事業 住宅街区整備事業
工業団地造成事業 新都市基盤整備事業
防災街区整備事業
●市街地開発事業等のながれ
駅前の再開発や幹線道路をつくったりする市街地再開発事業等は、事業を行うためにどのような手続きが必要なのでしょうか。
基本的手続き
都市計画で市街地再開発事業を行うことや都市施設をつくることなどを決定し、用地を取得しながら建築制限等を行います。さらに事業認可を受けると、収用し、工事を進めるのが基本的な手続きです。
予定区域を定めた場合の手続き
都市計画法は詳細な都市計画が決定しない段階でも、事業の基本的事項が決まった段階から予定区域に関する都市計画を決定できるものとして、数少ない適地を早急に確保できるようにしています。

※収用とは、特定の公共の利益となる事業に用いるため、国・地方公共団体などが強制的に土地の所有者や使用権を取得する事をいいます
予定区域を定めた場合の手続き

市街地開発事業等の建築制限等
●詳細な都市計画を決める
都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内で、建築物の建築をしょうとする者は、原則として、都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし下記の場合は、許可は不要です。
◯地階を有しない階数が2以下の木造建築物の改築または移転
◯都市計画事業の施行としての行為、またはこれに準ずる行為
◯非常災害のための必要な応急措置としての行為
都道府県知事等は、許可申請を受けた場合は、許可の基準に従って、許可または不許可の処分をします。下にあげたものは許可しなければなりません。
◯建築が都市計画施設または市街地開発事業に関する都市計画の中で、建築物について定めるものに適合しているとき、知事は許可をします。
◯階数が2以下で、地階のないもの、主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これに類する構造であるもの。
許可の基準に適合する建築物の建築であっても、事業予定地内におけるものは、原則として知事は不許可とすることができます。

事業認可を受けると、施行予定者が定められていない都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域は、事業地となります。そして事業地内では、さまざまな行為に対して知事等の許可を受けなければならないものがあります。

土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設で都市計画事業の施行の障害となるおそれのあるもの、重量が5トンを超える物件の設置、または堆積は知事の許可が必要です。障害がなければ許可は不要です。
※事業地内では、非常災害のため必要な応急措置の建築であっても許可が必要です。
●予定区域に関する都市計画
都市施設、市街化開発事業について予定区域に関する基本的な都市計画が決定されると、 市街化開発事業等予定地となります。この区域は早めの確実な用地確保のために、厳しい建築制限等を行います。

市街地開発事業予定区域内の建築制限等に関して 土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設については、原則、知事の許可を受けなければなりません。
ただし、通常の管理行為、軽易な行為やその他一定の行為、非常災害のために必要な応急措置の行為、都市計画事業の施行行為、またはこれに準ずる行為として政令で定める行為は知事の許可は不要です。
市街地開発事業予定区域に関する都市計画が定められた場合には、 都市計画の告示の日から起算して3年以内に市街地開発事業または都市施設に関する詳細な都市計画を定めなければなりません。
詳細な都市計画が決まると、施行予定者が定められている都市計画施設の区域、または施行予定者が定められている市街地開発事業の施行区域になります。
この区域も上と同様、厳しい建築制限等が定められています。

●事業許可を受ける
施行予定者は、詳細な都市計画を定めた場合、都市計画の告知の日から起算して2年以内に、市街地開発事業の認可または承認の申請をしなければなりません。事業認可を受けると、施行予定者が定められている都市計画施設等の区域は、事業地となります。この場合も同様に、厳しい建築制限等が定められています。


次はLESSON58建築基準法(1)です。