宅建士英文タイトル

LESSON15 業務上の規制(4)

ここではお客と宅建業者の取引にトラブルが起きないように、
契約をするときはさまざまな規制や書面の交付を義務付けています。
ここではそれについて学習します。

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●契約締結時期の制限
 未完成物件の取引のトラブルを防ぐために、宅建業法では開発許可、建築確認等の処分後でなければ、契約の締結を禁止しています。これは広告を開始する時期と同じです。宅建業者は宅地造成、建物の建築の完了前に、開発許可、建築確認等があった後でなければ、売買、交換契約を自ら行ったり、代理・媒介をしてはいけません。しかし、貸借の代理・媒介は 規制されておりません。
※広告は規制されています
 


●手付けの貸付等による契約の誘いの禁止
 不動産販売の知識に乏しいお客に対しては保護する必要があります。宅建業者が建売住宅や宅地分譲の販売のときに、手付けの用意のない見学のお客に、手付金を貸し付けて、すぐ契約をさせたりします。後で、お客が手付けの解除をしたときに、手付け金相当額を取得する宅建業者の不正を防ぐために、お客への手付金貸付等を禁止しています。


●契約内容を記載した書面の交付
 宅地・建物の売買契約が成立したら、契約内容を記載した書面をお客に交付しなければなりません。この書面は37条書面と呼ばれ、契約成立後のトラブルを防ぐものです。宅建業者は契約成立後、すみやかに下記の場合は交付します。

・自ら当事者として売買・交換の契約を締結したときは相手方(お客)に交付します。
・依頼者の代理として契約を締結したときは、相手方、代理の依頼者に交付します。
・媒介により契約が成立したときは、契約の各当事者に交付します。
・業者間の取引でも交付します。

▶︎37条書面の記名押印
 37条書面を交付するときは、宅建士が記名押印したものを交付する義務があります。ただ記名押印は専任宅建士のものでなくてもよく、交付は宅建士でなくても構いません。そして37条書面の交付の場所は、事務所でなくてもよく、規制はありません。また、宅建業者は37条書面の記載内容の説明義務はありません。

●37条書面の記載事項
 ここに掲載される記載事項は、売買・交換、貸借の共通事項と貸借には不要の事項があります。貸借に不要の場合はその旨を表示します。37条書面の記載事項には、必要的記載事項と任意的記載事項があります。必要的記載事項は必ず記載しなければならない事項です。任意的記載事項は定めがあるかないかで、記載するかどうかが決まります。試験に出る重要なところです。


必要的記載事項(売買・交換、貸借の共通事項と貸借には不要の事項があります)


□当事者の氏名、住所


□代金、交換差金、借賃金額、支払方法、支払時期


□宅地・建物の引渡し時期


□移転登記の申請時期 ×賃借は不要


任意的記載事項


□代金、交換差金、借賃の他に金銭のやり取りの定めがあるときは、金額、目的、時期等


□契約の解除に関する定め、内容


□損害賠償額の予定、違約金に関する定め、内容


□代金、交換差金のローンの斡旋の定めがあるとき、ローンが成立しないときの措置 ×賃借は不要


□災害などによる損害の負担に関する定め、内容


□宅地・建物の瑕疵を担保する責任、当該責任の履行に関して講ずべき保証、保険契約の締結、その他の措置について定めがあるとき、内容 ×賃借は不要


□宅地・建物の租税、その他の公課の負担に関する定め、内容 ×賃借は不要


※公課とは、税金以外にかかる公の負担金
※租税とは、国や地方自治体が国民に強制的に支払わせる税金 

●35条書面と37条書面

 LESSON13で解説した35条書面と、ここLESSON15で解説している37条書面のことを、もう一度確認してみましょう。35条書面(重要事項説明書)の記載事項は必ず記載します。ない場合もないと記載します。これに対して、37条書面は必ず記載する事項と、当事者で特に特に定めた場合にのみ記載する事項とに分かれますので、注意が必要です。

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宅建業法はいよいよ後半に突入です。面倒な項目は続きますが、だいぶ慣れてきたと思います。コーヒータイムでもはさみながら、じっくりいきましょう。これは国家資格です。難しくて当たり前。どうしても嫌になったら、散歩や買い物で気分転換。次はLESSON16です。