●宅建業者への監督処分
国土交通大臣、都道府県知事は、宅建業者が不正行為や宅建業法に違反したときは、指示処分、業務停止処分、免許取消処分や指導、立入検査等をおこなうことができます。

▶︎指示処分
指示処分ができるのは、免許権者だけではありません。都道府県知事は、管轄区内で営業している、他の都道府県知事の免許を受けた宅建業者、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者に対しても、指示処分を行うことができます。ではどのような場合に指示処分されるのでしょうか。
○業務について他の法令に違反したり、宅建業者にふさわしくないと認められるとき
○宅建士が監督処分を受け、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
○宅建業法の規定に違反したとき
※指示処分は公告する必要はありません
▶︎業務停止処分
業務停止処分はどのような場合におこなわれるのでしょうか。
○宅建業法の規定に違反したとき
○業務について他の法令に違反し、なおかつ宅建業者として不適当であることが認められるとき
○宅建士が監督処分を受け、宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき
▶︎免許取消処分
国土交通大臣または都道府県知事は、免許を受けた宅建業者に取り消すに該当する事由があるときは、免許取消処分をおこなうことができます。どのような場合に免許取消処分を受けるのでしょうか。ただ免許取消処分には、必ず取消になる「必要的取消事由」と、取消を免許権者の裁量に委ねられている「任意的取消事由」があります。
必要的取消事由
□業務停止処分に違反したとき
□不正に免許を受けたとき
□業務停止処分に該当し、情状が特に重いとき
□成年被後見人、被保佐人、破産者となったとき
□禁固刑以上に処せられたとき
□宅建業法等一定の罰で罰金刑以上に処せられたとき
□暴力団員等
□暴力団員が事業活動を支配するとき
□営業で、成年者と同一の行為能力を有しない未成年の法定代理人、法人の役員、政令で定める使用人が一定の欠格事由に該当するとき
□免許替えをしないで、新たに免許を受けていないことがわかったとき
□免許を受けてから1年以内に、営業活動を開始しないとき、または引き続き1年以上営業を休止したとき
□廃業等の届出がなく、その事実が判明したとき
任意的取消事項
□宅建業者が免許についての条件に違反したとき
□宅建業者の事務所の所在地が確認できないとき
□宅建業者・役員の所在が確認できないとき
この場合、免許権者は公告をおこない、30日経過しても申し出がないときは、免許を取り消すことができます
▶︎助言、指導、勧告
すべての宅建業者に、国土交通大臣は必要に応じて、助言、指導、勧告をすることができます。都道府県の区域内で営業を行っている宅建業者に、その区域の都道府県知事は同じように助言、指導、勧告をすることができます。
▶︎報告、立入検査
すべての宅建業者に、国土交通大臣は宅建業の適正な運営をするために、必要と認めるときは、業務について必要な報告を求めたり、職員に事務所を立ち入らせて、帳簿、書類など、業務関係の物件を検査させることができます。これは都道府県の区域内で業務を行なっている宅建業者にも、都道府県知事は同様なことを求めることができます。
●宅建士への監督
宅建士には3つの監督処分があり、指示処分、事務禁止処分、登録消除処分が適用されます。

▶︎指示処分、事務禁止処分
宅建士が指示処分、事務禁止処分等をされるのはどのような場合でしょうか。
○宅建士としておこなう事務に、不正や著しく不当な行為をしたとき
○専任宅建士として勤めている事務所以外に、他の事務所にも専任宅建士である旨の表示を許し、宅建業者がその旨を表示したとき
○他人に自分の名義の使用を許し、その他人が名義を使用して宅建士であるかのように表示をしたとき
○宅建士として行う事務に、不正または著しく不当な行為をしたとき
となっています。そして事務の禁止期間は1年以内です。指示処分と事務禁止処分の具体的な内容は次のようになっています。
指示処分
□都道府県知事は、登録を受けている宅建士が一定の事由に該当するときは、必要な指示をすることができます。
□都道府県知事は、区域内で事務を行なっている、他の都道府県知事の登録を受けた宅建士が、一定の事由に該当するときは、必要な指示をすることができます。
事務禁止処分(期間は1年以内)
□ 都道府県知事は、登録を受けている宅建士が一定の事由に該当するときは、1年以内の期間を定めて、宅建士としての事務を行うことを禁止することができます。
□都道府県知事は、区域内で事務を行なっている、他の都道府県知事の登録を受けた宅建士が、一定の事由に該当するときは、1年以内の期間を定めて、宅建士としての事務を行うことを禁止することができます。
▶︎宅建士の登録消除処分
宅建士が登録消除処分に該当したときは、処分を受けます。
宅建士の場合
□不正の手段で登録を受けたとき
□不正の手段で宅建士証の交付を受けたとき
□事務禁止処分に違反したとき
□事務禁止処分事由に該当し、情状が特に重いとき
□登録欠格事由に該当したとき
宅建士資格者の場合
□不正の手段で登録を受けたとき
□登録欠格事由に該当したとき
□宅建士として事務を行い、情状が特に重いとき
▶︎報告
国土交通大臣はすべての宅建士に、また都道府県知事の区域内で登録を受けている宅建士、区域内で事務を行なっている宅建士に、事務の適正な行為を確保する必要があると認めるときは、その事務に関しての報告をするように、指示することができます。
▶︎聴聞制度
監督処分を行う場合、宅建士や宅建業者に処分を言い渡す前に、言い訳や状況を聞いてから判断することになります。宅建業法では、宅建士や宅建業者の処分をするときは、公開による聴聞を行わなければならないと規定しています。処分対象者が、正当な理由なく聴聞に出席しなかったときは、聴聞手続きを終結させることができます。つまりいきなり処分されるということです。
