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LESSON31 地役権・地上権・占有権

ここでは地役権・地上権・占有権を中心にどのような権利なのかを学習します。

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●地役権(ちえきけん)
 土地の便益(利用価値をますこと)のために、他人の土地を利用する権利を地役権といいます。
 例えば、B地は道路に面していないので、A地を通らなければ道路に出られません。そのために、A地を通る権利をA地に設定する場合の権利を通行地役権といいます。
 このように、他の土地を必要とする土地Bを要役地、地役権を承服する土地Aを承役地といいます。

地役権1
 

●地役権の性質
  要役地の便益のための権利が地役権です。要役地に結びついた権利といえます。民法では地役権の付従性を次のように定めています。
○地役権は要役権の譲渡や移転に伴って移動します。
○要役地から分離して、地役権のみを譲渡することはできません。
地役権2

 次に地役権の不可分性についてです。
※不可分性とは、密接な関係を持っていて、分けることができない性質のもの
○共有者の一人が地役権を取得した場合、他の共有者も地役権を取得します。
○共有者に対する取得時効の中断は、地役権を使用している全員の共有者にしなければ効力を生じません。
○数人で要役地を共有している場合、その一人が消滅時効を中断すれば、その効力は他の共有者にも及びます。
 地役権は時効によっても取得できます。ただし継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限って認められています。
※継続的に行使されるものは、例えば通行地役権、外形上認識することができるものとは、地表の用水地役権をさします 


●地上権
 他人の所有する土地に、工作物または竹木を所有するため、その土地を使用、収益することができる権利を、地上権といいます。簡単にいいますと、他人の土地を利用する権利のことです。
 地下または空間における工作物(地下鉄、モノレール等)の所有のための地上権も認められています。
 地上権の取得は、地上権者と地上権設定者の契約が通常ですが、時効や競売による取得もあります。

 地上権の存続期間は契約によって定められます。定めがないときは、慣習があればそれに従います。契約の定めや慣習がないときは、当事者の請求によって、裁判所が20年以上50年以下の範囲で期間を決定します。
 地上権の登記は、地主が協力する義務があります。そして地上権者は地主の承諾がなくても、第三者に譲渡したり、その土地を他に賃貸したりすることができます。地上権物権ですので、地主の承諾はいりません。


●占有権
 占有権とは、物を支配している状態、その支配している状態自体を保護するために作られた権利を占有権といいます。例えば、自分の土地に家を建てて住んでいる場合、土地の所有者は土地の占有権もあるということです。

●占有訴権
 占有権のある人は、その権利を侵害しょうとする者に対しては排除することができます。この権利を占有訴権といいます。占有訴権は3つに分類されます。
 


●占有保持の訴え
 占有者が占有を妨害されたときは、妨害の停止および損害の賠償を請求することができます。
 例えば、Aのところの大木が、隣地のBのところへ倒れた場合、Bは土地の占有権を侵害されたので、Aに対して折れた大木を除去し、大木が倒れていた間、庭が使用できなかったので、損害賠償を求めることができます。

そして占有保持の訴えは、原則、妨害の期間または妨害のなくなった後、1年以内に提起しなければならないとされています。ただし、工事などで占有物に損害が発生したときは、工事着手から1年を経過し、または工事が完了したときには、訴えは提起できません。

占有権1

●占有保全の訴え
 占有者が占有を妨害されるおそれがあるとき、妨害の予防または損害賠償の担保を請求することができます。これを占有保全の訴えといいます。原則として、妨害のおそれがある間は、提起することができます。ただし、工事によって占有物に損害が生じるおそれがあるときは、工事着手のときから1年を経過し、または工事が完了したときには、訴えを提起できません。

 例えば、Aの大木が隣地のBのところへ倒れてきそうな状態になっているとき、Bは自分の土地の占有権が侵害されそうになっているわけですから、Aに対策を講じて欲しいということができます。または倒れたときは、損害を補償するための担保を出すように、請求することができます。
※占有保全の訴えは妨害の予防、損害賠償の担保の請求のどちらか一方しか選択できません。

占有権2

●占有回収の訴え
 占有者が占有を奪われたときは、返還および損害賠償を請求できます。これを占有回収の訴えといいます。占有回収の訴えは、奪われた時点から1年以内にしなければなりません。侵奪者の特定継承人(買主など)に対しては提起できません。ただし、継承人が悪意のないときは提起できます。
 例えば、土地を勝手に不法占拠されたような場合をいいます。

 
 
ぐうたらカエル

cowgirl
いつも見ていることが、法律用語になると、途端に難しくなり、わかりづらくなることがよくあります。図を参考に文章を読むとよくわかると思います。法律は普段の生活の中にあります。次はLESSON32 担保物権(1)です。