宅建士英文タイトル

LESSON34 担保物権(3)

担保物権もいよいよ3回目の最終レッスンです。
ここでは質権、留置権、先取特権、非典型担保について学習します。

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●質権
 質屋さんを思い浮かべてください。利用したことのない人もなんとなくわかると思います。質屋さんに高級腕時計、宝石、カメラ等を持って行って、お金を引き換えに借ります。質屋さんはお金を貸す代わりにお客さんの持ってきた物を担保に預かります。お金を返さないときは、預かった物を競売に出して、競売代金で債権(貸したお金相当)を回収します。このように、担保目的物の占有を債権者に移転して、債権者は弁済がされるまでは担保目的物を留置しておきます。弁済がない場合は、、他者の債権に優先して弁済を受けることができます。これを質権といいます。質権を設定する契約では、目的物を引き渡す義務があります。これは要物契約といいます。

○高級腕時計や宝石、ブランド品等の動産を質権の目的物とするものを動産質権といいます。占有の取得が成立要件です。対抗要件は占有の継続になります。
○土地や建物の不動産を対象にした質権を不動産質権といいます。占有の取得が成立要件です。対抗要件は登記になります。不動産質権者は土地や建物を使用したり、収益する権利を持っています。
○権利を対象とした質権を債権質といいます。質権者は質権の目的である債権を直接取立てることができます。しかし質権の目的である債権の弁済期の前に到来した場合は、第三債務者にその弁済する金額を供託するように請求することができます。債権質の対抗要件は、債権譲渡の対抗要件の規定に準用されています。
※第三債務者とは、質入れされた債権の債務者のことをいいます


 


●留置権 
 例えば、スマートフォンの修理をした業者が、修理代を払ってもらうまでは、修理業者の手元に保管(留置)して、修理代金の支払いを促すというような場合をいいます。スマートフォンを留置することによって、債務者に心理的に圧迫を加え、間接的に弁済を強制します。
 このように、他人の物の占有者が、その物に関連して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる担保物権を留置権といいます。留置権の目的物は動産、不動産、どちらでもかまいません。ただし不動産の対抗要件は占有の継続になります。
※留置権には物上代位性はありません

●先取特権
 見慣れない言葉がまだ続きます。「さきどりとっけん」といいます。法律が定める特殊の債権を有する者が債務者の総財産あるいは特定の財産から一般債務者にに優先して弁済を受けることができる法定の担保物権のことです。目的となる債務者の種類によって、一般の先取特権と特別の先取特権とに分けられます。一般の先取特権は債務者の全財産を目的とするものです。特別の先取特権はさらに動産と不動産に分かれ、動産の先取特権は特定の動産を目的とするもの、不動産の先取特権は特定の不動産を目的とするものです。不動産の先取特権を第三者に対抗するためには、登記が必要となります。登記をした家の修理など、不動産の保存、家の新築などの不動産の工事の先取特権は、登記の前後を問わず、抵当権、不動産質権に優先します。  

先取特権

●非典型担保
 いままで学習してきた抵当権、質権、留置権、先取特権の4つの担保物権を典型担保といいます。それ以外の担保物権を非典型担保といいます。非典型担保には買い戻し譲渡担保があります。
○買い戻し
 貸金債権を担保することを目的として、売買契約を締結するときに、後日売主が代金と契約の費用を返して、売買契約を解除することを特約することを買い戻しといいます。

 例えば、Aは自分の不動産をBに売却しました。後日、 Aがその売却した代金、契約の費用を返還すれば、解約ができるものとします。これはAがBから借金したときの担保として、BがAの不動産を取得していることが、ほとんどの場合考えられます。売却代金=借金ということですので、Aが借金を返済できなかったときは、Bは取得した不動産を貸したお金の弁済に当てることになります。買い戻しは担保の役割を果たしていることになります。
 

買戻し

 ○買い戻しの要件
 買い戻しの特約は、不動産の売買契約と同時にする義務があります。買い戻しをするには、代金と契約の費用を返還すればよく、利息を支払う必要はありません。買い戻しの期間は10年を超えることができなく、10年を超える期間を定めたときは、10年に短縮されます。

 期間は一度決めると、延長はできません。また、期間を定めなかったときは、5年以内に買い戻しをしなければなりません。買い戻しの特約は、売買契約と同時に登記をすることにより、第三者に対抗できます。
※第三者に対抗するためには、第三者に買い戻しの意思表示をします。


 ○譲渡担保
 債権の担保のために、債務者、第三者が所有する目的物を債権者に譲渡し、かつ債権が弁済されたときは、目的物を債務者、第三者に返還することを約束する物的担保を譲渡担保といいます。
 慣習上認められた物権です。譲渡担保は動産でも、不動産でもよく、対抗要件は動産は引き渡し不動産は所有権移転登記になります。

 
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担保物権は何度も出てきますので、ここで確実に学習してください。
この後も難しい内容が続きますので、無理せず、着実に進めてください。 次はLESSON35 債務不履行です。